「モノクロブルーム2」レビュー|交際4ヵ月、同棲の話で余裕を失うのはエリートの側
「モノクロブルーム2」(パーティーチューン・ぱり)のTLコミックレビュー。付き合って4ヵ月の二人が同棲を巡ってすれ違う続編を、余裕を失うのがエリート側という反転と、前作との分量差から読み解き、どちらから買うべきかまで整理します。
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黒瀬と白川。二人の名字には黒と白が入っていて、タイトルの「モノクロ」はそこから来ていると読めます。パーティーチューンの「モノクロブルーム2」は、前作で恋人になったこの二人の4ヵ月後を描く続編です。落ち着いたはずの関係が同棲の話でつまずき、余裕をなくすのは高圧的なエリートの側——という反転が本作の骨格。前作との分量差と「単体でも読める」の実際まで、購入前の判断材料を整理します。
作品の概要
パーティーチューン(作画・ぱり)が2026年5月8日に配信した女性向け同人コミックです。総ページ数は86P(表紙+本文68P+あとがき1P+おまけ漫画15P+イラスト1P)。ファイル形式はJPEGとPDFの同梱で、容量は約322MB。年齢指定はR18、修正はモザイクです。価格は880円。オールハッピーの作品なので、結末の不安なく手に取れます。
2025年11月配信の「モノクロブルーム」(RJ01504617)の続編にあたり、前作で付き合った二人のその後を描きます。
登場人物は前作から続投の二人です。黒瀬宗一は大手化粧品会社のマーケティング部に所属するエリートで、プライドが高く誰にでも高圧的な男。白川莉亜羅はデザインの才能を持つ陽キャギャルで、楽観的でテキトーな性格です。前作では、白川のデザインに惚れ込んだ黒瀬が仕事を依頼し、気付けば本人にも惚れていた——という順路で二人は付き合い始めました。本作はそこから4ヵ月後、同棲を巡って少しすれ違い、黒瀬が一人振り回された末に感情を爆発させる話です。
こんな人に刺さる
前作を読んで、二人のその後が見たい人。 本作は関係が始まるまでの物語ではなく、始まった関係が最初のつまずきに遭う物語です。付き合って4ヵ月という時期の指定が具体的で、恋人になったところで終わらない続きを求めていた読者に、まっすぐ応えます。
余裕のある側が余裕を失う構図が好きな人。 誰にでも高圧的で、仕事もでき、前作では白川を見つけ出す側だった黒瀬が、本作では一人で振り回されます。攻める側の内心が崩れる——という反転そのものが本作の売りです。クール攻めというキャラクター造形を、その余裕が剥がれる場面ごと読みたい人には狙い通りの一冊になります。
ギャル×堅物という取り合わせに反応する人。 楽観的でテキトーな陽キャギャルと、プライドの高い大手企業のエリート。性格も生活のリズムも噛み合わない二人が、それでも一緒に住むかどうかを話し合う——同棲というテーマは、この組み合わせの噛み合わなさを一番わかりやすく可視化する題材です。
読みどころ
振り回される側が入れ替わっているのが、続編としての一番の見どころです。前作の構図は、黒瀬が白川のデザインを見つけ、仕事を依頼し、本人にも惚れる——という「見つける側/見つけられる側」でした。本作ではその黒瀬が、同棲の話ひとつで一人先走り、一人で消耗します。プライドの高さと高圧的な態度が前提として置かれているぶん、それが崩れたときの落差が効く設計です。
すれ違いの規模が「少し」であることも、本作の性格をよく表しています。別れ話でも三角関係でもなく、同棲という一つの話題を巡る食い違いが起点。関係そのものは壊れないという安心の上で、内心だけが大きく揺れます。修羅場を求める人には物足りず、恋人同士の甘さを保ったまま感情の振れ幅だけ欲しい人にはちょうどいい設定です。
性描写は分量・直接性ともに率直な部類で、作品の前面に出ています。ただし本文68ページのうちどれだけがそこに割かれているかは、公式情報から読み取れません。前作にあった「ストーリーとエロシーンの割合は約1:1」のような目安が、本作には示されていないためです。読み味の判断は、作品ページのサンプル画像と、作者がpixivで公開している長めの冒頭サンプルで確かめられます。
作画はモノクロの密度で押すタイプです。トーンを厚く重ねた線で、ギャル側の髪や睫毛の描き込みと、エリート側の表情の硬さを描き分けています。デフォルメの効いたコメディ寄りの絵柄ではなく、劇画寄りの生々しさがある画面です。
似た作品との比較
当サイトで扱っているTL作品はどれも「関係が始まるまで」を描いた作品で、本作だけが「始まった後」を描いています。この一点が立ち位置のすべてです。
「結婚適齢期の、結婚を前提とした、結婚のための関係なのに」(990円・本文85ページ)は、条件で付き合い始めた二人が本音にたどり着くまでの話でした。「セフレはアリ、恋はナシ!」(990円・本文87ページ)は、割り切った関係が恋に変わるまでの話です。どちらも到達点は「恋人になること」。本作はその先から始まり、恋人であることを前提に同棲という次の段階を扱います。恋人になる瞬間のカタルシスを求めているなら前の2本、恋人になったあとの生活の話を読みたいなら本作、という選び分けになります。
分量では本作が不利です。本文68ページは上記2本より2割ほど少なく、「放蕩貴族は元王太子妃との孕ませ婚で忙しい」の137ページと比べればほぼ半分。価格は880円で、110円安いだけです。同じ作者の前作が本文120ページで同じ880円だったことを踏まえると、ページあたりの単価は1.7倍ほどになります。おまけ漫画15Pとイラスト1Pが付いての総86Pという構成なので、そこに価値を感じるかどうかで印象は変わります。
総評
評価は3.5。 続編としての設計は明快です。前作で「見つける側」だった高圧的なエリートを、続編では振り回される側に置く。この反転一点に狙いを絞り、オールハッピーで着地させる。付き合って4ヵ月という時期を選んだのも、関係が安定しきる前の揺れを描くのに適した位置取りです。
満点にしなかった理由は分量と構造の二つ。本文68ページで880円は、同じ作者の前作(本文120ページ・880円)と並べるとページ単価が上がります。そして続編である以上、二人が惹かれ合う過程という最大の山場は前作が持っています。
買い方の直答。 前作「モノクロブルーム」(RJ01504617・880円・本文120ページ)を読んで二人を好きになった人は、迷わず買っていい続編です。逆にこの二人を初めて知る人は、前作から入るほうが満足度が高くなります。作者は「単体でも読める内容です」と明記しているので単体購入も選べますが、本作が描くのは既に成立した関係の揺れなので、二人への思い入れがあるほど効く作りです。二作合わせて1760円という前提で考えるのが現実的でしょう。
そもそも「関係が始まるまで」を読みたい気分なら、本作は入口として向きません。その場合は「セフレはアリ、恋はナシ!」のような、関係の定義が変わっていく過程そのものを主題にした作品のほうが、期待に応えてくれます。
作品データ
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